
「野球が終わった日」のその後~医学部、受けようかな
7年前。息子は「高校球児」だった。高校3年生の夏の大会敗退と同時に息子の野球は終わった。同時に親として野球に関わる日も終わった。その時の思いは過去のブログに「野球が終わった日のリアル」というタイトルで綴った(長文!)
現実には息子の野球は終わらなかった。令和8年2月現在。「来週から大学の練習が始まる」と帰省生活を終えて大学へ戻っていった。春から医学科6年生。野球部の活動ラストシーズンを迎える。今日は、6年前のブログ「野球が終わった日のリアル」その後を書こうと思う。
高校3年生の夏、息子は地元国立大学の工学部を志望して受験勉強をしていた。私の進学校教員経験から現役での合格はない、と確信していた。「良く言えば」、本当に野球に熱中した高校生活だった。高校3年夏まで家で勉強している姿を見たことは、ほぼなかった。
夏休みが終わり、秋の声を聞いた頃だろうか。突然、息子は「浪人したら、工学部は受けないかもしれない。」と口にした。
「え、じゃ、どこ受けるの?」と尋ねた返事が「医学部、受けようかな。」であった。
高校3年の夏の大会1ヶ月前、練習試合中に怪我をして救急搬送、手術、2週間の入院生活を送った。あの怪我によって思い描いた「高校球児としてのキャリア」は実現できなかった。が、病院で出会った医師や、リハビリでお世話になったスポーツドクターの存在が息子のなかで静かに、じわじわと、自分の将来像として醸成されていったのだろう。
あの日から「医学部受験への道」がスタートした。もちろん平坦ではなかった。本人の 勉強量と努力もあり、一浪後、県外の国立大医学科に合格。(ここまでの道、すごく、すごく省略しております。)
親として、現役の高校教員として有難かったのは、息子の高校では誰も「え、医学部、無理でしょ」などとは言わなかったことだ。野球部の監督をはじめ先生方も、友人たちも。
だから息子も自分の心のみに従って「医学部に行きたい」と口にし、雑念を持たず、真っすぐに志せたのだと思う。
医学科進学者が多い高校だったこともあるが、「希望が受けとめてもらえる環境」こそ実は志望校実現の第一歩として重要ポイントだと私は思っている。

医学部で野球を続けるという選択
医学科へ入学した息子は、結果的に医学部準硬式野球部に入部した。医学部の授業や実習と両立しながら野球を続けるベストな選択なのだという。息子の様子を見ていると納得だ。大学入学以降、息子は常に何らかの勉強に追われている。
膨大な量の知識の暗記、進級がかかったテスト勉強、CBT対策…。いつ帰省しても、「やらなくちゃ」という課題やテスト対策を抱えていて、この5年間、「ちょっと緩い受験生生活」が続いているような感じだった。
意外だったのは、「医学部準硬式野球部」が想像していたのよりもずっと「ガチな」練習、活動をしていることだ。毎年、夏に開催される「東日本医科学生総合体育大会」(通称「東医体」)という医学科学生の頂点を決めるスポーツ祭典優勝に向けて1年生から6年生までが活動する熱量と内容は体育会の部活そのものだ。
シーズンに入ると、週末は北海道から関東まで遠征を重ねている。夫と「仙台遠征」をそっと観に行った際、レベルも熱さも想像以上で驚いた。甲子園球児もいる。「準硬式が熱い」とは聞いていたが、「医学部準硬式野球」の熱さは想定外であった。高校野球で終わりなのかな、と思っていた息子がマウンドにいる。ドキドキ感や応援の楽しさを久々に思い出した。




以来、夏の「東医体」の応援に行っている。群馬、栃木、神奈川。昨夏は40度近い暑さのなか熱い試合を観戦した。160球超え完投勝利の試合。抑えで登場し、逆転負けを許した試合。
大学5年生にもなって野球を、ピッチャーを続けている姿を見られるなんて幸せなことだ。対戦相手にはさらにパワーアップした高校野球部の先輩や後輩の姿もあり、「野球は続いている」ことを実感する。
親元を離れて6年め、息子の今の生活のすべてを把握することはないが、野球部の仲間や先輩、卒業生をはじめとした「野球人脈」に支えられていることだけは伝わってくる。
追っかけ最終章へ
「来週から練習が始まる」と車に荷物を積み、息子は大学のある地へ戻っていった。野球の練習も始まるし、病院実習も始まるらしい。6年生、最後の学年、野球もいよいよラストシーズンだ。朝から夜まで「ジムで筋トレ」「勉強」、時々「就活」(病院見学)。春休み帰省の2週間はあっという間だった。医師国家試験の対策もしているようだ。大学生になって自分なりの勉強法を確立したらしい。遅咲きかもしれないが、生涯学び続ける時代、十分だ。




「今は人の野球を観るよりも、自分でやる方なんだよね。」プロ野球観戦について話をする時、息子がふと口にした言葉。
「そっか、卒業しても何らかのカタチで続けていきたいんでしょ?」私の問いに、息子は「そうだね。」と答えた。
現実、医局対抗野球大会があったりするらしい。
野球は、続いているし、続く、のだろう。

親として観戦し、応援する野球はこの夏の「東医体」が最後かなぁ、と思っている。





