立秋が過ぎ、少しずつ夕闇が早く迫るようになった。空を見上げると、秋の香りがする。
秋来ぬと目にはさやかに見えねども、風の音にぞおどろかれぬる
古今和歌集(巻第四 秋歌上)藤原敏行が立秋の日に詠んだとされる歌。「まだまだ夏景色、しかし、風の音によって秋の到来を感じ、はっとする」という歌だ。
ここ東北の地、仙台では立秋を過ぎると(ちょうど仙台七夕が終わると)、毎年この和歌をふと思い出す。
今年の夏といえば?
と聞かれたら、いろいろあったような気がするが、私は「アイスエスプレッソ」と答えるだろう。BODUMのコロンとしたグラスに、冷蔵庫に作ってもらった氷をざくっと入れ、デロンギのエスプレッソマシンのボタンをポン!と押す。ザー、と豆を削る音がして、氷を入れたグラスにエスプレッソが注がれる。
朝に一杯、帰宅後に一杯、そして夕食後に一杯。ボタンをポン、と押すと豆の香りとともにエスプレッソが注がれる手軽さがうれしくて、この夏は、すっかりアイスエスプレッソのお世話になった。
過ぎゆく夏の思い出は、アイスエスプレッソ。アイスエスプレッソを片手に、仕事をしたり、家族と語らったり、ぼんやりと考えごとをしたり。
ともに過ごした時間と、ともに楽しんだスイーツの味も、アイスエスプレッソと一緒に思い出すことになりそうだ。